SPECIAL
#01
アニメ放送開始直前!松岡 禎丞×古賀 葵×中村 桜 対談インタビュー
――原作をご覧になった感想をお聞かせください。
松岡:最初にタイトルを見たときはチート系なのかなと思ったのですが、実際に読んでみると、まだまだ「世界最強の後衛」ではないんですよね。原作を読む前は「俺が後ろにいれば無敵」というイメージを持っていたので、良い意味で衝撃を受けました。
作中、主人公のアリヒトは何度も苦戦し、困難に巻き込まれます。前世でブラック企業に勤めていた経験があるからこそ、つい無理をしてしまうんです。その姿を見ていると「いい人ほど損をするんだな」と思わされます。「そんなに肩肘張らなくていいんだよ」と言いたくなりますが、アリヒトはそう言われると逆に無理をしてしまう人間。危うさも持ち合わせていますが、目が離せない存在であることは間違いないので、彼が主人公でいてくれてよかったなと思っています。
――転生前はかなり無茶をしていましたね。
松岡:転生直前の社員旅行の時点で、だいぶお疲れでしたよね。きっと本心では「旅行に行くくらいなら家にいたい」と思っていたでしょう(笑)。
中村:アリヒトなら、絶対にそう思っているでしょうね(笑)。私も「世界最強」というタイトルを見た時は、最初から主人公が無双する物語なのかなと思いましたが、アリヒト自身は至って普通の人なんです。ただ、周りの人物がアリヒトと出会うことで才能を開花させ、彼自身も成長して本領を発揮していく。そんな風に“最強になっていく”過程を描いた作品なのだと気付きました。
――アリヒトの年下上司であるキョウカの存在は、物語のスパイスになりそうです。
中村:同じタイミングで転生すること自体が珍しいですよね。しかも上司と部下という関係性なので、最初は気まずくてしょうがないと思います(笑)。
松岡:アリヒトはキョウカのことが少し苦手ですからね。
中村:ええ。ふたりの気まずさが今後どう解消されていくのかにも、ぜひ期待してほしいです。
――古賀さんはいかがでしょうか?
古賀:私は「後衛」というワードに惹かれました。みなさんと同じように、最強系の作品は主人公が最前線に出て道を切り開いていくイメージがあったのですが、アリヒトはあくまで後衛なんですよね。最初から最強ではなかったり、人間関係が複雑だったりして、物語自体がとても面白いなと。転生してからの描写も新鮮で、いきなり無双しないからこそ、地道に積み上げていく過程が妙にリアルだと感じました。
――アリヒトは平凡に見えますが、前世の経験が本作ならではの要素に繋がっていますね。
松岡:前世のブラック企業で培った能力をこの世界で活かすとは思いませんでした。商談や交渉を息をするようにこなしていて、舞台は異世界なのに「完全にサラリーマンじゃん」と。
無駄を省く姿勢は効率重視といいますか、今必要な技能を瞬時に判断できる、根っからの後衛タイプです。それなのに本人は「最近寝てないな」と至って平然としている。こういう作品で今まで見たことがないタイプの主人公ですね。一見頼りがいがないように見えて、実は非常に有能なところが、この作品ならではの魅力になっています。
中村:転生したからには別の職業を選びそうなものなのに、アリヒトは堅実に前世の経験を活かそうとするんですよね。でもそれは、彼が今まで経験を積み重ねてきた結果でもあるので、そこは見ていて面白いポイントだと思います。
古賀:苦労を苦労と思わない、良く言えば頑張り屋さんですよね。だからこそ人が寄ってきて、人望が厚くなる。技能だけでなく、もともと彼が積み上げてきた人間性があるからこそですね。私の近くにアリヒトさんがいたら、きっと頼りっきりになっちゃうと思います(笑)。
松岡さんがおっしゃったように効率重視な面もありますが、テレジアへの接し方を見ると、人情や優しさに溢れています。あんなにブラックな環境で生きてきたのに、テレジアのような出会って間もない亜人に対して深く情を注げるところにアリヒトの人柄の良さが現れているなと思いました。
――そんなテレジアについて、どのような魅力を感じましたか?
古賀:テレジアは元は人間だけど、亜人になってしまった女の子です。戦闘中は命令に従うだけ、しかも喋れないからコミュニケーションが取れないのですが、アリヒトと出会ったことで、徐々に人間の心を取り戻していくようなシーンが描かれます。そういった細かな変化に加えて、「人間だった頃はどんな子だったんだろう」と色々想像していただきながら見ると、より楽しいキャラクターだと思います。
――喋れなくても、感情表現だけでかわいいと思わされます。
古賀:感情がないわけではないんですよね。演じるうえでもその気持ちを読み取りつつ、どこまで表に出すのかを細かく調整しました。ただ、序盤の戦闘シーンでリアクションを多めに入れたお芝居したら、音響監督さんから「全部いらない!」と言われてしまって。音響監督さんとしては、心の機微が徐々に見えるようにしたかったようです。その後もテレジアの変化を読み取りながらリアクションのバランスを調整したのですが、その匙加減が絶妙に難しく、ドキドキしつつも楽しみながら収録させていただきました。
――キョウカについてはいかがでしょうか?
中村:キョウカはハイスペックなOLですが、アリヒトの前世の上司でもあり、少し苦手な存在なんですよね。見た目は綺麗ですが、ガンガン仕事をするタイプなので、最初はとっつきにくさを感じるキャラクターなのかなと思います。
でも話が進むにつれて、仕事で培った能力が活きたり、本来の年下らしさが見え隠れしたりします。ふたりの関係も複雑そうに見えますが、実はキョウカが気張りすぎていただけで、案外、私たちの日常でもよくあることなんじゃないかなと。特別な何かがあるわけではなく、一生懸命に頑張りすぎて空回っている子なんだなと感じました。
――生粋のサラリーマンと亜人のコンビに加わることで、パーティーの個性がさらに増していますね。
中村:そうですね。人間味の薄いテレジアと、人間らしさに溢れたキョウカが揃うことで、よりふたりの個性が引き立っていると思います。
――松岡さんはヒロインふたりについて、どのような印象をお持ちですか?
松岡:テレジアはパーティーの戦力的にも、物語的にも鍵となる存在です。個人的には、リザードマンになる前のオリジナルの姿が気になりますね。言葉は話せませんが、行動や仕草を見る限り、すごくいい子だったのだと思うんです。
今後、テレジアの些細な変化や、「気のせいかな?」と思っていたことが確信に変わる瞬間が訪れます。そのたびに、言葉は交わせずともアリヒトに想いは伝わっているんだなと感じさせられるんですよね。ただ、伝わっていない想いもあって「気付いてあげなよ」とアリヒトにツッコミたくなる時もありますが(笑)。
キョウカは少し拗らせたツンデレ気質ですが、アリヒトは彼女の拗らせを真に受けてしまいます。そのせいで、かけてあげるべき言葉をかけられなかったりして。僕としてはキョウカの行動原理がなんとなくわかるので、「そこは言えよ!」と思ったりもしますが、アリヒトは「気のせいか」で済ませてしまう。でも、キョウカもそんなアリヒトに対して、どんどん自分を隠さなくなっていくところが面白いですね。テレジアと3人でいると、なんだか親子みたいです。
――演じるにあたって意識したことをお聞かせください。
古賀:テレジアについては、やはり「心の変化」ですね。少しでも感情があることや、心の内が伝われば嬉しいなと思いながら演じていました。また、戦闘中は本能があらわになるので、パーティーの中で頼りになる存在であることも意識しています。
――前半はリアクションが少なめとのことですが、話が進むごとにバリエーションが増えていくのでしょうか?
古賀:そうですね。この世界で亜人はただの戦闘要員として扱われていますが、アリヒトはちゃんと「仲間」として迎え入れてくれます。それはテレジアにとって初めての経験だからこそ、少しずつ心が動いているんだなと。後半になるにつれて感情の動きがよりわかりやすくなるので、そこがしっかり伝わるように調整しています。
――キョウカを演じるにあたってはいかがでしたか?
中村:キョウカの場合、普通にお芝居をすると、ただの「やり手のお姉さん上司」になってしまうんです。だから、あえて崩すことを意識しました。すべてのセリフの頭に「私が」と付くような、自己主張の強い女性感といいますか(笑)。特に転生した直後は彼女のマイナス面が強く出ているので、より主張が強そうに演じています。
でも、パーティーに加わってからはアリヒトとの関係性も変化し、メンバーとの信頼が深まることでフラットな性格になっていきます。お芝居の面でも、少しずつかわいい面が出るように工夫しました。最初はちょっと嫌な女に見えるかもしれませんが、どうか嫌いにならないでください(笑)。
――アリヒトについてはいかがでしょうか?
松岡:そもそもアリヒトは、なんやかんやで前世の仕事の感覚が抜け切っていないんですよね。最初は「新しい世界でエンジョイする」と言っていたのに、仲間たちと出会うことで、どんどんタスクが増えてしまって。セールストークも上手いので、「アリヒトは異世界に仕事しに来たの?」と、違和感に気付いてもらえたら嬉しいなと思って演じました(笑)。
一同:(笑)
松岡:スーツ姿のせいでもあると思うんですけどね。
中村:キョウカは着替えるんですけどね(笑)。
古賀:最初、広大な大自然の中にスーツ姿のアリヒトが立っていて笑っちゃいました(笑)。
――収録現場はどんな雰囲気でしたか?
松岡:第1話の収録では、あまりみなさんと会話を交わしていないんですよね。ルイーザからこの世界の説明を受けるのがメインですし、キョウカとは少しだけ。テレジアはそもそも喋らないですし。現場での居方については、正直、僕は主役を演じる時、あまりほかのキャストと話さないようにしているんです。
――それはどのような理由からですか?
松岡:「ちゃんとしていたい」からです。昔、先輩から「大黒柱がダメになると、現場全体が崩壊する」と言われたことがあって。それ以来、主役の時は自分からあまり喋らないようにしています。今回も基本的にはスタジオの端のほうで台本を読んでいました。ただ、この現場は男性キャストが端に集まる傾向があったので、その方々とはよく喋っていましたね。あとは同じ事務所の後輩の本渡(楓)くらいでしょうか。本当に、あまり喋った記憶がないです……(笑)。
――座長として、どっしりと構えていらっしゃったんですね。
松岡:そうですね。ただ、アイキャッチやアフタートークの収録に怯えていた部分もありますが(笑)。
中村・古賀:あぁ~!
――アイキャッチは、みなさんがアドリブで声を当てているそうですね。
松岡:マイク前で本編のお芝居をしている時のほうが気が楽でした。
中村:私は最初、女性キャストが多いので賑やかな現場になるのかなと思ったら、意外と落ち着いた雰囲気で驚きました。
古賀:たしかに、男性陣と女性陣の座る席がハッキリと分かれていましたよね。しかも、なぜかいつも真ん中の席がポツンと空いているんです(笑)。
中村:私はメインキャラクターを演じる経験がまだ少ないですし、性格的にも端っこの席が落ち着くんですよ。
松岡:いつも、メインキャストが座るソファーじゃない位置にいましたよね。
中村:本来なら新人さんが座るような席を率先して選んでいましたね(笑)。第8話くらいになって、ようやくソファーに座るようにしました。
――そうでしたか(笑)。
松岡:キャストにとって、第1話の収録は「椅子取り合戦」でもあるんです。
中村:最初に座った場所が固定化されることはよくありますよね。松岡さんはいつも入口近くの端の席でしたし、古賀さんも奥のほうに座っていたイメージです。
古賀:そうですね。私の場合はセリフが少ないキャラクターだったので、みなさんに「どうぞ、どうぞ」と譲っていたところがあります(笑)。
松岡:僕の場合は「右のマイクを使いたい」という明確な理由があったんです。台本を持ちながらマイクの前に立つと、モニターを確認する関係上、右のマイクが一番視界が開けてやりやすい。それに、一番セリフ量が多い人間が右マイクに固定されることで、キャストみんなのマイクワーク(入れ替わり)がスムーズになるんです。
――キャストが次々とマイク前を移動するからこそ、移動の妨げにならない位置に固定したほうが効率が良いと。
松岡:新人の頃から「こうしたほうがいい」と思っていました。マイクの間隔がとても広いスタジオだと、マイク前に行くたびに動線に悩んだり、床が軋むポイントがあったりするんですよね。そういう過去の経験も踏まえて、できるだけ右のマイクを使うようにしています。
中村:後半はキャラクターの人数も増えるので、本当にありがたかったです。
古賀:現場を円滑に回してくださっていたんですね。
――最後に、第1話放送に向けて、読者のみなさんにメッセージをお願いします。
松岡:この作品は、僕が今まで出演してきた転生モノの中でも異色だと思っています。それくらい設定自体が面白い。コメディとシリアスのバランスも絶妙です。キャラクター一人ひとりが抱える問題が解決していく過程にはシリアスなドラマもありますが、陽気な仲間たちと助け合いながら乗り越えていきます。アリヒトが不憫に思えるシーンも必見です(笑)。第1話から楽しんでいただける作品ですので、ぜひ期待していてください。
古賀:本編を通して、転生者同士や迷宮国の住人たちと、アリヒトが関係を構築していく姿を楽しんでいただけると思います。あとはやはり女の子たちですね。みんなかわいくて個性豊かなので、見ているとどんどん内面を知りたくなるはずです。そして、そんな彼女たちを上手くまとめていくアリヒト。彼の交渉術は、もしかしたら視聴者のみなさんのお仕事の参考にもなるかもしれません(笑)。そういった細かいポイントも含めて、楽しんでいただければ嬉しいです。
中村:転生モノは数多くありますが、この作品は現実を生きる私たちにも通ずる要素を随所で感じさせてくれます。それはやはり、アリヒトが親しみを感じやすい人物だからこそなんですよね。物語の舞台となる迷宮国にはアリヒト以外にも数多くの転生者がいるので、彼らとのやり取りにも注目してほしいです。
また、バトルシーンも大きな魅力です。積み上げた技能を駆使して、どうやってピンチを乗り越えるのか。数々の戦いを経て、絆を深めていくパーティーの姿を、ぜひ最後まで見届けてください。
取材・文:MoA
